けさの出来事
2015年11月
けさ、仕事場に車で向かってたら年配の女性がバス停の陰からふらふらっと前方の路上に出てきた。
ゆっくり車を止めると、女性はとても顔色が悪く、消え入りそうな声で「すみません。。」と声をかけてきた。
これから歯医者に行こうとバスを待っていたのだが、急にめまいがひどくなってとても行けそうにない、
ついては駅まで乗せていってくれないか。これだけ一気に言ってしまうと
女性は車のドアに腕をもたせていかにも具合が悪そうでうなだれている。
すぐ車に乗ってもらって駅に向かった。車中で女性は「すみません、すみません」と言い続けながら4、5分で小田急線の駅に着いた。
少し向こうにその歯医者の看板が見える。車を降りる間際、なおもすみませんと繰り返しながら
女性は千円札を用意していたのだろう、「少ないですが」と渡そうとする。それは固辞して車を出した。
いつか我が身のことである。ぼくがふらふらっと車に近づいたら轢かれてしまうかもしれん。